【完】DROP(ドロップ)
トントンと子供をあやす様に、奈央の背中を叩き落ち着かせる。
「ねぇ、奈央ちゃんって俺の事……その、あの、好き、なんだよね?」
確認する様に聞くと『やっぱり馬鹿』っていつもみたいに冷たい声が耳元で囁かれた。
やっぱりわかんない俺の携帯が鳴り響き、出るとマネージャーがすげぇ怒ってて
《陸、今どこ!? 本番始まってるんだぞ!》
と、奈央にも聞こえる位の声で叫んだ。
それを聞いて、楽屋のテレビをつけた奈央が、また大笑いして指差す画面には、俺を除くDROPメンバーが
「RIKU-。早く仕事終らせて来いよー♪」
なーんて、生放送の歌番組で悪戯な笑みを零しながらオープニングをこなしていた。
「うっわ! やっべ!」
慌てて楽屋を出る俺に後から
「陸、女の子全部切ってよね?」
そう笑った奈央は昔、俺が好きだった頃の笑顔で。
やっぱり、それって好きって事だよね?
立ち止まり、聞き返そうとしたのに俺の横を通り抜け
「さ、私も撮影に戻ろうっ」
と先に楽屋から出てしまった。
「え? ちょっと奈央ちゃーん!」
「もう、馬鹿っ! バレちゃうでしょ!?」
あ、やっぱり……それって好きって事でいいんだよね?