お稲荷様のお呼びです!


じっと下を見つめていると、そっとひーちゃんに肩を叩かれる。


「千代?」


「えっあ、なに?」


「今日やっぱりどこか抜けてるね」


「あはは……昨日ドタバタで……」



昨日じゃなくてここ数日続いてるけど。


学校にいる時だって気は抜いちゃいけない。


気持ちを入れ直し、鞄を担ぎ直す。



「今日も1日頑張ろうね、ひーちゃん!」


「え、うん」



少し驚いた表情を見せたひーちゃんだったけど、小さく笑った。



「いつも通りになった」


「そう?」


「さ、行くよ」



ぽんっと私の背中を叩いて前へ行くひーちゃんの後を追うように、正門を潜り抜ける。


――その時。


ゾクリと背筋が凍るような寒気が私に襲いかかった。



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