お稲荷様のお呼びです!
さて……一体どうしようか。
鞄の中に入れっぱなしも窒息しそうで可哀想だし、かと言って勝手に行動されるのも困る。
チラッと伊鞠くんを見れば、乱れた尻尾を毛繕いしていた。
の、呑気だなあ……
バレないように小さくため息をつくと、ピクリと伊鞠くんの耳が動いた。
毛繕いをやめて、資料のダンボールの山をじっと見つめた。
「どうかした?」
首を傾げて私も伊鞠くんが見つめる方を見た。
でもそこにはただのダンボールがあるだけで、特に変わったことはない。
「――嘉様の言った通りだ」
「え?」
「人間、これから私はこの建物内の調査に入る。何かあったらこれを吹け」
伊鞠くんの懐から出てきたのは、小さな縦笛。
それを私が受け取ると、また白い煙に包まれたかと思えば小さな白狐がダンボールの山を駆け上がって行く。