お稲荷様のお呼びです!


「ちょ、ちょっと伊鞠くん!!どこ行くの!」



引き止めるように言うけど、ダンボールの一番上で動きを止める。


ゆっくりと2本の尻尾を揺らすと、そのまま閉まってる窓を通り抜けて外へと飛び出して行った。


まったく……自分勝手な主様に似て伊鞠くんも自由な子だなあ……


残された私は、もらった縦笛を手の中で転がす。



「何かあったら……ね」



伊鞠くんの行動といい、この笛を貰っている時点で何かが起こる予兆でしかない。


何もないことを願いたいけど、まあ無理だよね。


そっとそのままスカートのポケットの中に、縦笛を入れた。


床に置きっぱなしの鞄を拾い上げ、もう一度窓の外を見て何も変わってないことを確認してから扉を開ける。

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