お稲荷様のお呼びです!
こういう事するなら……事前に伝えておくようにきちんと言わなきゃ――
廊下へと出ようと足を踏み出したけど、何かに押し戻されるようにその場でどんと尻もちをつく。
「いっ……」
じんじんとくる痛みに顔をしかめつつ、咄嗟に体制を整え構える。
ここここんなすぐに妖登場しちゃう?!
パッとその正体を見るけど、顔を引き攣らせる。
「……こんな所で何やってんだ?」
聞いたことのないその声。
低いその声は私に矛先を向けるように、ピリピリしているような気がした。
制服のバッチからして同い年の男の子だ。
私を上から下へとじっくり見るように、視線を動かしていく。