お稲荷様のお呼びです!

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ドクドクとうるさい鼓動を抑えながら、教室へと向かう。


見慣れた顔が見え始めると、さっきまでのドキドキが収まってきた。


小さくため息をついて教室に入ると、何やら騒がしい。


周りを見渡しながら席に着くと、ひーちゃんがやって来る。



「千代、大丈夫?」



向かいの席に自分の場所のように居座ると、机にそっと1本のココアを置いた。


カチャっと自分の分を開けて飲み始めるひーちゃんを見つつ、ココアを受け取る。



「ありがとう」


「無理しないようにね」



ひーちゃんのこの優しさに胸がキュンとなる。


ああ……なんていい子なんだろう。


ココアを飲んでるだけなのにすごい綺麗な絵になる。





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