お稲荷様のお呼びです!


私の視線に気がついたひーちゃんが、ん?と小さく首を傾げる。


飲め飲めと促すように視線を配られ、いただきますと小さく呟き私もココアを一口喉に流した。


ふわりと口に広がる優しい甘さに、滑らかなミルクの味が心を撫でるようなそんな感覚に陥る。


一息着いた所で、もう一度教室を見渡した。



「なんだか今日騒がしいね」


「被害あった子もいるみたいだよ」


「あ……」


「臨時の集会開くみたいだし、先生達もドタバタしてた」



限られた地域のみとは言っても、そこに住んでいた人達は被害を受けた。


その人達がここの生徒だって何もおかしくない。


被害から免れただけで、もしかしたら学校自体にも影響があったかもしれない。


呑気に妖のことばかり考えていたけど、周りがよく見えてなかった。



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