お稲荷様のお呼びです!


ガタリと音を立てながら立ち上がる。



「さて。ひーちゃん行こ」


「飲むの早すぎ……」



私に合わせてひーちゃんもココアを一気に飲むと、ゴミ箱に缶を捨てて一緒に廊下へと出る。


ぞろぞろと廊下を歩く生徒達の中で、ひたすら辺りを見渡しおかしな所はないか確認する。


階段を降りる時は背中を押されないか怖かったけど、そんな事もなく体育館へとたどり着く。


いつもよりも人数が少ない分整列もスムーズで、SHRのチャイムと共に学校にいる生徒全員が体育館に集まった。


そこから始まった集会では、校長先生の話と警察が順に今回の事件について説明していく。


犯人はまだ見つかっていないと告げた警察官の声が少し篭って聞こえた。


この事件は、私達人間には決して敵うことのない相手。


それを分かっているのは……この私だけ。



< 163 / 253 >

この作品をシェア

pagetop