お稲荷様のお呼びです!
それを教えるわけにもいかない。
第一、誰もこんな非日常的な話なんて信じてくれるわけないか。
超能力者で皆には見えないものが見えるんです……!って言っても笑われるだけだろうし。
はあ……何だかんだ言って、やっぱりこの状況を冷静かつ素直に受け止めてる自分が怖い。
注意事項等を念を押して言う警察官の話が終わる頃、うずうずとお尻の痛みと戦う後ろ姿が目立ち始めた。
そんな生徒達に気づいた進路指導の先生がテキパキと今後の予定を話す。
授業に関しては変更なしだけど、放課後の部活動だけは停止。
そう告げて静かに臨時の集会が終わる。
学年ごとに教室に移動の指示が出て、ひーちゃんが私の元へやって来る。
「授業は変更なしだったね」
「なに、千代期待してたの?」
「少しだけね」
ふっと笑ったひーちゃんに少しトキメキながらも、教室へとゆっくりと戻る。
歩いてきた道には特には異常なし。
昨日嘉さんが倒したから、式神とやらはいないのかもしれない。
でもあんなのがまた現れるとなったら……一人じゃ絶対対処しきれない。
だから今夜嘉さんと一緒にここに来てどうにか、する、はず。
まあハチャメチャになるのは目に見えてる。
あの嘉さんが大人しく綺麗に片付けるわけがない。
そう思った瞬間微かに見えないけど結ばれている、朱色の糸の部分がキリリと痛んだ。