お稲荷様のお呼びです!


真っ青な空が広がる中、黒々しい煙がそこに集まる。


そして空が徐々に歪んでいくと、強い風が吹き窓を揺らした。


歪んだ空間から出てきたのは……あの骨の鳥の妖と、真っ黒な格好の男の子。


特別棟の屋上に着地すると、大きな鎌が男の子の手元に急に現れる。


強い風が止むと、ケタケタと不気味な鳴き声が響く。


辺りを見渡した男の子が私のいる教室をじっと見つめる。


ゾクッと背筋が凍りついていく中で、何か行動しようと思うものの頭は動かない。


彼は一体誰なの……?あの妖は……?


どうすればいいの?私の力って一体なんなの?


鼓動がどんどんヒートアップして、うるさいくらいに響いて聞こえてくる。


冷や汗がつうっと頬を伝った瞬間、男の子と妖が黒い霧に消える。



「やあやあ、こんにちは。不思議な力をお持ちの小娘さん」



その声に息を飲むことしかできない。


だってさっきまで確かにあそこに……いたはずじゃ……


どんな力を使ったのかは分からない。


一瞬にして男の子は教室の窓ガラスを破り、私の前に現れた。


ギラギラと光る鎌に映る私の顔は恐怖に耐えていた。


バラバラになった窓ガラスが不思議と落ちることなく宙を舞う。


私の前に突如現れた男の子は、ニタリと笑うと鎌を担いで私の席に足を置いた。


その足を見つめることしかできなくて、必死に体の震えを抑えた。




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