お稲荷様のお呼びです!
スラリとした鼻立ちに癖の強い猫っ毛に目尻にあるホクロ。
人懐こそうな顔なのにどこか裏表がありそうなそんな顔。
真っ黒な着物に包まれたほっそりとした体つきだけど、大鎌をかつぎ上げるガッシリとした筋肉はそこに隠れているみたい。
どこか嬉しそうな目で私を見つめて、逸らそうとはしない。
「へえ……こりゃ驚いた。巫女ってことは情報得てたが、まさか白憐の血とは……まだ生き残りがいるとはな」
「あなたは……一体誰ですか」
絞って出した声は震えていて、自分でも聞き取りにくい。
それでも男の子は私の質問をしっかりと聞き取った。
「初めまして巫女さん。夢慈(むじ)の国からあなたを拐いに来た戒哲(かいてつ)と申します。以後お見知りおきを」
「さ、拐いに……?」
「でも厄介なことにもう契約が済まされているのかあ〜……なら、そいつを殺るしかないか」
どこか面倒臭そうな声でそう言うと、私に突きつけていた鎌をそっと退かした。