無気力王子とじれ甘同居。
「いい?松下くん、こんなこと言いたくないけど、そういうのってちょっと自己中だと思う。お家探すのめんどくさいからって…」
「自己中なのは君でしょ?それともなに?俺に何かされるかもとか期待しちゃってんの?」
今日の松下くんは、実によくしゃべる。
しゃべるのを聞きながら、改めて彼の低くて通る声に『完全にイケボだな』なんて思っちゃったし。
だけど…。
すっごくムカつく!
すっごくムカつくー!
「あのね、あなた女の子にはもっと……」
「わかったわよ!春子さん、私、この人と住みますから」
春子さんが松下くんを注意しようとした瞬間、私は強くそう言った。
「え、でも…祐実ちゃん…感情的になって決めて、あとで後悔すると…」
「大丈夫です!大丈夫!なんかあったら警察呼びますし!」
「でも…」
チラチラと松下くんを見ながら困惑する春子さん。
「本人が大丈夫って言っててもダメですか?」
「……わかったわ、祐実ちゃん、何かあったらすぐに連絡するのよ」
「はい」
私がそう返事をすると、春子さんは渋々アパートの階段を降りた。