跳んで気になる恋の虫


「えっ?何?ナミ、どういうこと?ペアリングってお揃いの指輪のこと?」

沙知が、私と虫屋の会話を聞いて、全く分からないと言って口をはさんだ。

そっか……この話が分かるのは、この中で私だけなんだ。

「虫屋は、そのままでいい」

「えっ?虫屋?虫屋って、あの虫屋?」

私が虫屋に向かって答えると、沙知も周りにいた部活のみんなもざわついた。

「えっ、えっ?ナミ?どういうこと?虫屋ってオタクでむさくるしい虫屋でしょ?あんな奴、絶対無理って……」

私は、大きく深呼吸してから、みんなの前で頭を下げた。

「沙知、それからみんなも聞いて。私は今まで嘘をついていました。本当は高跳びを一生懸命やりたくても、なんとなくできませんでした。頑張ろうって言うのが怖くて、やる気のないふりをしていました。でも本当は高跳びが大好きで、たくさん頑張って優勝したい。これが本当の気持ちです」

私は、もう一度大きく深呼吸して、言葉をつづけた。







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