跳んで気になる恋の虫
「ナミ……私ね……ナミが羨ましかったの。高跳びでは、ナミに絶対負けるじゃない?だから、ナミが一番苦手そうなこと……男子のこととか……そういうことで勝った気がして……対等になろうとしてた。ごめん、高跳びから逃げてたんだ。ナミが頑張ったら、もう絶対に勝てないってわかってたから……ほんとは私もナミみたいに高く跳びたい。頑張りたいよ、私も」
「……沙知……」
黙って聞いていたみんなも、少しずつ口を開いてほんとの気持ちを言ってくれた。
「私も跳びたい」
「頑張ったって絶対無理だと思ってたけど、ナミのトロフィー見たら私もほしくなった」
みんな同じだった。
みんな高跳びが好きだから、もっと高く跳びたかったんだ。
でも、怖いから、自信がないから、負けるのが嫌だからと、精一杯頑張ることから逃げて、ちゃんと知ることもしないで、私たちはなんとなくを生きていた。