我喜歡你〜君が好き〜
週末の休み明け。
だるい体を引きずっていつもと変わらなく出勤した凪沙は、あの夜に出会ったジャーハオのことなどすっかり忘れたいた。
いや、忘れようとしていた。
たしかに近年稀に見る美丈夫…いい男だった。顔だけではなく、声や雰囲気まで極上ってどんだだけよ?
思い出しそうになっては頭の片隅へジャーハオを追いやり、また思い出しそうなってはため息をついて同じことを繰り返す。
そんな渚の変化にいち早く気がついた理依奈はランチに誘った凪沙に詰め寄った。
「…で?一体何があったの??」
「何って…アレよ。いつもと違うことしてみたら、いつもと違うこそ出会いがあった…。」
少し歯切れ悪く答えた凪沙は目の前のパスタを突いた。一方、凪沙の話を聞いた里依紗は盛大にむせ込み、涙目になりながら凪沙の肩をバンバン叩く。
「やったじゃない!ついに凪沙にも春がきたわね!!」
「春っていうか…。…って言うか、痛い。痛いよ里依紗。」
「で?相手はどんな男?イケメン?インテリ?しょくぎょうは?年齢は?」
矢継ぎ早に飛んでくる質問に凪沙は決まり悪く、名前もわからないとだけ答えた。
「はぁ!?名前もわからないの?じゃあ、次会う約束とかは?」
「してない。」
「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!???あんたそれマジで終わってるよ!名前も連絡先も知らないで、どうやって次につなげんのよ?」
「いや、だって…自分からそんなこと聞けないでしょ?なんか下心あるみたいで恥ずかしいじゃん!?」
「あるでしょ!下心!!純情乙女な面かぶってたって、一枚剥けば下心しかないでしょうよ!!」
ビシッと音が出そうなほど、鋭くフォークを向けた里依紗は興奮覚めやらぬまま凪沙に再度通告をする。
「もう一度その男と出会った場所に行きなさい。時間はその時と全く同じ時間。そして、自分から声をかけなさい。一度会っているんだから、またお会いしましたねー。位の嫌いの軽いノリで行けば大丈夫だから。」
「いや、軽いノリでそんなこと言えないから困ってるんじゃん。理依奈みたいになんて絶対に言えないわ。無理無理無理…。」
首を横に振りながら凪沙が肩を落とす。しかし、落としたはずの肩を綺麗にネイルが施された理依奈の手が、ガシッと掴んだ。
「無理じゃない。やろうと思えば人間なんでもできるよ。それを教えてくれたのは凪沙でしょ!?…諦めないでよ。行動を起こさなきゃ何も変わらない。行動を起こす前に諦めていたら、何も始まらないよ?今回の出会いも、いつもと違うことをしたからでしょ?」
凪沙に言いながら理依奈は入社当時のことを思い出していた。
理依奈と凪沙は同期入社だったが、仕事の出来や出世のスピードは凪沙がいつも一番だった。
社内での評判も評価もよく、先輩たちから可愛がられる凪沙に理依奈は嫉妬して、嫌味を言ったりしたこともあった。
そのうち会社にも行きたくなくなって、やめようか。と思っていた時凪沙が突然自分の頬を引っ叩いたのだった。
「あんだけ、私に嫌味言っといて…言うだけ言って逃げんな!やろうと思えば人間なんでもできるんだよ!何もしようとしないで、楽な方選んで逃げるなんて許さない!」
鋭い睨みをきかせて、自分に説教してきた凪沙には正直ムカついたけど、同時に尊敬できた。
そこからどこぞの青春映画みたいに、私達は仲良くなった。あの時、私を導いてくれたのは凪沙。だから、今度は私が凪沙を導いたあげたい。
「何もしようとしないで楽な方に逃げるなんて卑怯だ!あんたに昔言われた言葉そのまま返すわ。悔しいけど、私はこの言葉で変われた。人に偉そうに説教したんだから、次は凪沙が示して見せてよ。」
理依奈の言葉に、凪沙はハッとして視線をあげた。
「…わかった…。今日の帰りに行ってみる。」
凪沙の瞳がまっすぐに理依奈を捉える。
そう…これが私の好きな凪沙の顔。
そう思いながら理依奈は親指を立てて凪沙へエールを送った。
どうか、彼女が幸せをつかめるように。
だるい体を引きずっていつもと変わらなく出勤した凪沙は、あの夜に出会ったジャーハオのことなどすっかり忘れたいた。
いや、忘れようとしていた。
たしかに近年稀に見る美丈夫…いい男だった。顔だけではなく、声や雰囲気まで極上ってどんだだけよ?
思い出しそうになっては頭の片隅へジャーハオを追いやり、また思い出しそうなってはため息をついて同じことを繰り返す。
そんな渚の変化にいち早く気がついた理依奈はランチに誘った凪沙に詰め寄った。
「…で?一体何があったの??」
「何って…アレよ。いつもと違うことしてみたら、いつもと違うこそ出会いがあった…。」
少し歯切れ悪く答えた凪沙は目の前のパスタを突いた。一方、凪沙の話を聞いた里依紗は盛大にむせ込み、涙目になりながら凪沙の肩をバンバン叩く。
「やったじゃない!ついに凪沙にも春がきたわね!!」
「春っていうか…。…って言うか、痛い。痛いよ里依紗。」
「で?相手はどんな男?イケメン?インテリ?しょくぎょうは?年齢は?」
矢継ぎ早に飛んでくる質問に凪沙は決まり悪く、名前もわからないとだけ答えた。
「はぁ!?名前もわからないの?じゃあ、次会う約束とかは?」
「してない。」
「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!???あんたそれマジで終わってるよ!名前も連絡先も知らないで、どうやって次につなげんのよ?」
「いや、だって…自分からそんなこと聞けないでしょ?なんか下心あるみたいで恥ずかしいじゃん!?」
「あるでしょ!下心!!純情乙女な面かぶってたって、一枚剥けば下心しかないでしょうよ!!」
ビシッと音が出そうなほど、鋭くフォークを向けた里依紗は興奮覚めやらぬまま凪沙に再度通告をする。
「もう一度その男と出会った場所に行きなさい。時間はその時と全く同じ時間。そして、自分から声をかけなさい。一度会っているんだから、またお会いしましたねー。位の嫌いの軽いノリで行けば大丈夫だから。」
「いや、軽いノリでそんなこと言えないから困ってるんじゃん。理依奈みたいになんて絶対に言えないわ。無理無理無理…。」
首を横に振りながら凪沙が肩を落とす。しかし、落としたはずの肩を綺麗にネイルが施された理依奈の手が、ガシッと掴んだ。
「無理じゃない。やろうと思えば人間なんでもできるよ。それを教えてくれたのは凪沙でしょ!?…諦めないでよ。行動を起こさなきゃ何も変わらない。行動を起こす前に諦めていたら、何も始まらないよ?今回の出会いも、いつもと違うことをしたからでしょ?」
凪沙に言いながら理依奈は入社当時のことを思い出していた。
理依奈と凪沙は同期入社だったが、仕事の出来や出世のスピードは凪沙がいつも一番だった。
社内での評判も評価もよく、先輩たちから可愛がられる凪沙に理依奈は嫉妬して、嫌味を言ったりしたこともあった。
そのうち会社にも行きたくなくなって、やめようか。と思っていた時凪沙が突然自分の頬を引っ叩いたのだった。
「あんだけ、私に嫌味言っといて…言うだけ言って逃げんな!やろうと思えば人間なんでもできるんだよ!何もしようとしないで、楽な方選んで逃げるなんて許さない!」
鋭い睨みをきかせて、自分に説教してきた凪沙には正直ムカついたけど、同時に尊敬できた。
そこからどこぞの青春映画みたいに、私達は仲良くなった。あの時、私を導いてくれたのは凪沙。だから、今度は私が凪沙を導いたあげたい。
「何もしようとしないで楽な方に逃げるなんて卑怯だ!あんたに昔言われた言葉そのまま返すわ。悔しいけど、私はこの言葉で変われた。人に偉そうに説教したんだから、次は凪沙が示して見せてよ。」
理依奈の言葉に、凪沙はハッとして視線をあげた。
「…わかった…。今日の帰りに行ってみる。」
凪沙の瞳がまっすぐに理依奈を捉える。
そう…これが私の好きな凪沙の顔。
そう思いながら理依奈は親指を立てて凪沙へエールを送った。
どうか、彼女が幸せをつかめるように。