寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
セレナに会った瞬間、この手に欲しいと思った。
まだまだ子供で、無邪気な笑顔がまぶしいくらいの幼さ。
そんなセレナにあっという間に惹かれた自分はおかしいのだろうかとテオは悩んだが、明るく自由にふるまう彼女の中にある苦しさや寂しさを感じ、見た目のかわいらしさだけではない彼女の魅力に夢中になった。
抱き上げればすっぽりとテオの腕の中に納まり、体すべてを預けてきた。
テオは、その重さと胸に伝わるセレナの体温、そして、不安げに自分を見つめる青い目に心を揺さぶられ、そして、あっという間に恋に落ちたのだ。
当時、セレナは十歳、テオは十六歳。
国益につながる政略結婚を義務付けられている王族であれば、その年での婚約は珍しくもない。
セレナがランナケルドの第二王女だと知っていたテオは、すぐにでもセレナとの婚約を父である国王に願い出ようと思ったが、すでに時期を逸していた。
テオがセレナを望んだ日、それぞれ、別の相手との婚約が発表されたのだ。
「あの日から、俺は、お前と……」
セレナと結婚するため、カルロとクラリーチェとともに長い時間をかけてきた。
クラリーチェとの甘い関係を強調しながら周囲をあざむき、ゴールであるカルロとクラリーチェの結婚、そしてテオとセレナの結婚に向けて突っ走ってきた。
周囲に気取られる事のないよう、細心の注意を払いながら。
テオは、これまでの我慢に我慢を重ねてきた長い月日を思い出し、胸を熱くしながらセレナに口づけ、ローブの胸元を大きく開いた。
「や、やだ……」
激しいキスに翻弄されていたセレナは、乱暴に胸元が開かれてもどうする事もできない。
ソファに押し付けられた体はテオの重みで固定され、胸を這うテオの唇を受け止めるだけだ。
時おり甘噛みされ、そのたび声を上げる。