寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
「夫婦のあれこれは突っ込んでお聞きしませんが、今日こちらに来た時にテオ殿下とお会いしましたけど、とても幸せそうで鼻歌なんてのを口ずさんでましたよ。それはもう、楽しそうに」
ソフィアはテオの姿を思い出したのか、肩を揺らしてくつくつ笑う。
子供の頃からの長い付き合いだとはいっても、テオのあれほど幸せそうな顔を見たのは初めてだった。
誰もいなければスキップでもしそうで、思わず二度見してしまったほど。
「テオ殿下が望んでようやく手に入れた王女様ですからね……まあ、我慢はきかないでしょうし、セレナ様が昼間ぼんやりしちゃうのも仕方がないです。おまけに、そーんな痕までつけて。絶対にわざとですよね」
「え? 痕?」
ソフィアの視線を首筋に感じ、思わず手を当てた。
そのせいで、ようやく手に入れただとか、ソフィア口にした気になる言葉はセレナの中から飛んでしまった。
「そんなに恥ずかしがらなくても、愛される新妻にはよくある事です。ほら、私もここに」
「え?」
ソフィアは首元まで覆っているレースの襟をそっと下げて見せた。
そこには赤いうっ血が幾つか見える。
「ね、セレナ様とお揃いです。これは旦那様に昨夜つけられたもので、こちらはおとといの……」
ソフィアは体を後ろに向け、襟足にあるうっ血……これもまさにキスマークをセレナに自慢気に見せつけた。
「旦那様、今では私の事が大好きでしかたがないんですよ。私が一目ぼれして、王家の力で無理矢理承諾してもらった結婚だったんですけどね。結婚してからは私が旦那様を愛して愛して、気持ちを伝え続けたんです。すると今では旦那様も私に負けないくらい愛してくれるんです。だから、こうして毎日新しいキスマークが……ふふっ」
ソフィアは誇らしげに笑った。
降嫁した身ゆえ、セレナよりも地味なデザインのドレスを身に着けているが、セレナよりも生き生きとし、表情も言葉も仕草もすべて、セレナよりも輝いている。
セレナはソフィアの勢いに気圧されながらも、夫婦仲が良いソフィアを羨ましく思う。