寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
クラリーチェを死なせるわけにはいかなかったのは、もちろん国王夫妻が娘を愛していたからだが、それ以上に、王位継承者を死なせる事によって国内に混乱を生じさせるわけにはいかなかったからだ。
第二王女であるセレナが順当に王位を継承できる保証もない。
混乱といさかいが生じれば、その隙をついて他国から攻め入られるかもしれない。
そんな事があってはならない。
ランナケルドの国王夫妻がクラリーチェの体調に神経質になり、セレナを後回しにしていたのは、そんな理由からだ。
将来、クラリーチェにスムーズに王位を継承することが現王としての大きな責任であり義務。
セレナの事は後回しにするよりほかなかったのだ。
「ほんとは、わかってたけど、寂しいものは寂しいし。お姉様が羨ましかった。私が女王になれば、お父様とお母様に抱きしめてもらえるって思って……だから頑張って強くなりたかった。それに、テオのお嫁さんになれるって……」
テオの胸にコツンと頭を乗せて、セレナは呟く。
ワインを少し飲んだだけだというのに、セレナの口を軽くするには十分だったようだ。
普段口にしない想いがあふれ出す。
「今日も酔ったみたいだな」
気分は悪くないだろうかとテオがセレナの顔を覗き込んだ。
多少赤みを帯びた頬はセレナをいっそうかわいく見せ、テオの体も熱くなる。
このままベッドに押し倒しそうになるが、セレナの言葉はまだ続きそうだと、ぐっと堪えた。
「私、お姉様みたいに愛されたかった」
セレナの小さな声に、テオは頷いた。