涙が落ちたあの日から

*波の音が響く夜



あれから匡に会えないまま週末を迎えた。


バイトと学校と、めまぐるしく過ぎる毎日。


いつもなら、バイトが終わり学校へ向かう駅までの時間でも匡は現れて、まるで私が変な奴らに絡まれたりするのを守ってくれているようだった。


それが今は、無い。


匡を傷付けてしまったのは私……。


謝りたい気持ちは常にあるのに、どんなに探しても会えない日々。


気付けばいつも匡を探している自分がいた。






匡は私のこと怒ってるのかな?


あの焼き鳥屋さんには居るのかな?

ハンバーガー屋さんは?


もしかしたら、あの飲み屋に行ったら会えるかもしれない……。


でも、拓真やショウコさん、あの女性記者に出くわしてしまうかもしれない……そんな不安もあって……。




普通、何があってもまずは連絡先聞いておくよねぇ。


今更……連絡先聞いておけばよかったと後悔する。








「はぁ……」


ため息をつくと、チルドカップのコーヒーをズズッと飲んだ。





土曜のバイトは午後まで。



お客さんが少なくなった束の間の休憩。



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