エリート上司の過保護な独占愛
 裕貴は約束の時間ぎりぎりまで打ち合わせ予定だ。残業をしようと思えば仕事はいくらでもある。しかし手今日に限っては、まったく手につかないだろう。

 潔くパソコンを切って、先に会社を出ることにした。カフェにでも入って少し落ち着きたいと思った。

 デスクの一番下の引き出しに入れてあるバッグを取ると「お疲れ様です」と声をかけた。一課のデスクには、珍しく残業をしている佑香の姿があった。
 
 他のメンバーはまだ外回りから帰ってきていない。

「本城さんっ、佑香まだ仕事が終わらないんです。手伝ってもらえませんか?」

「え、……でも、それってずいぶん前から頼まれていた仕事だよね?」

 たしか少なくとも一週間以上前に、依頼されていた。そんなに時間がかかるものではないにもかかわらず、まだ半分くらいしかできていないようだ。

 しかし指摘された佑香が不機嫌になる。

「そうですよ。でも佑香が苦手だってわかってて仕事を振ってくる方が悪いと思いません? 本城さんだって、知ってたらなら代わってくれたらよかったのに」

(私以外の人が聞いてなくてよかった)

 絵美がいたら、カンカンに怒っていただろう。いや、他の人の目があればこんな発言はしないはずだ。そのあたり彼女はきちんとわかっている。沙衣だったら何も言わずに手伝ってくれるということを。

 しかし沙衣は佑香にきっぱりと告げた。
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