エリート上司の過保護な独占愛
「それは山下さんが頼まれた仕事だよね? だったら、やりとげないと。他の仕事が残ってるなら手伝うから。それは自分でやったほうがいいよ」

 苦手な仕事だとしても、いつも誰かが変わってくれるわけではない。しっかりやり遂げることでいい経験になるはずだ。そう思ったがその気持ちは伝わらない。

「ひどい、私が困ってるのに、助けてくれないんですか?」

 キッと睨みつけられて、ひるんでしまいそうになる。しかし相手に伝わるようにもう一度説得した。

「わからないところは、一緒にやろう。ね?」

 しかしいつも何も言わないのに、今日に限って諭すように話をする沙衣の態度が癪に障ったようで、佑香が攻撃的になる。

「その言い方、むかつく! 急に先輩面しないでください」

 怒って立ち上がった佑香の体が当たり、沙衣はバランスをくずした。なんとか転ばずにすんだものの、バッグが手から滑り落ち中身が床に散らばってしまった。

 屈みこみ、急いで荷物を拾う。佑香がバッグから取り出した本を手に取り、パラパラとめくった。

「あ、それはっ」

 焦って手を伸ばしたけれど、時すでに遅し。佑香は中身を確認すると意地悪い顔をして鼻で笑った。
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