エリート上司の過保護な独占愛
「ふたりとも、何やってるんだ?」

 険悪な雰囲気を感じ取って仲裁に入ったその声を聴き、ハッとして振り返る。そこには営業先から帰ってきたばかりの裕貴と大迫が立っていた。

 一番来てほしくない場面に、どうしてこうタイミング悪く現れるのだろうか。裕貴にだけは知られたくない。混乱した頭でどうすればいいのか考えようとするが、うまくいかない。

 その隙に佑香が手に持っていた本を、近いほうにいた大迫に広げて見せた。

「この本、一緒に読みませんか? 本城さんの本なんですけど」

「え、なになに?」」

 大迫は初めて見る恋愛マニュアル本を食い入るように見ている。

「へぇ。女の子ってこういうの参考にするわけ?」

 悪気のない大迫の言葉だったが、佑香が沙衣を傷つける言葉で返す。

「やだー! そんなことするのは、モテない計算高い女の人だけですよ。騙されてつき合う男の人がかわいそう。本城さんだて、こんなの間に受けたりして、実践したりしませんよね?」

 当てこすりを言われて、身体の中が羞恥でいっぱいになる。何も言えずにぐっと拳を握り、裕貴の方に目を向けた。

 目にしたのは、険しい顔の裕貴。その顔を見て耐えきれなくなる。

「私、失礼します」

 か細い声で断りを入れて、バッグを掴み出口に向かう。

「あ、これ忘れてますよ。大事な本ですよね?」

 追い打ちをかけるような佑香の声を無視して、廊下に出ると歩くスピードを上げてエレベーターに向かった。
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