エリート上司の過保護な独占愛
 会社から飛び出したものの、どこに向かっていいのわからない沙衣はとりあえず駅に向かった。定期入れを出し改札を抜けようとしたところで、足を止めた。  

『今日の夜から明日一日の沙衣は、俺のものだから』

 裕貴の言葉を思い出し、このまま電車に乗ってしまって本当にいいのか考えた。さっきの様子だとまだ裕貴は沙衣と会うつもりのようだ。

 確かに裕貴からすれば、一方的に予定をキャンセルされて、納得できていないに違いない。しかしあの短い時間でも泣き出してしまいそうだったのに、まともな話ができるとは思えなかった。

(この期に及んで、まだ期待するなんて、私も結構図々しい)

 自虐的に自分を責めて、未練を断ち切るように改札を抜けた。

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