エリート上司の過保護な独占愛
「いいよ、気にしないで。絵美ちゃんの大事な人は、俺にとっても大事な人だから」

 こんなふたりのような関係に、裕貴といつかなれるだろうか。こんな些細なことで躓いていていては、その日はやってこないような気さえする。

「どうして今更、桧山みどりの名前が出てくるのか知らないけど……それって、裕貴の元カノの名前でしょ?」

(あぁ……やっぱり)

 草野の言っていたことが事実だとわかる。

「あれは三年前だったかな? あのふたりが別れたのって」

 二年ほどつき合ったふたりが、破局を迎えたのは沙衣が入社する直前の話だった。

 大っぴらにつき合っていたわけではないが、社内でもふたりの関係を知るものは多かった。

「別れた後、桧山みどりさんは、すぐに桧山ケイジと結婚したんだ。単純に考えればみどりさんが裕貴と桧山ケイジを天秤にかけて、メリットのある方を選んだってことだろうな。まぁ。それくらい上昇志向の強い人だったってことだな」 
  
 慎吾は淡々と話をした。それを黙って聞くことしかできなかった。

「それって、課長が〝計算高い女が嫌い〟っていう話に繋がるわけ?」

 黙ったままの沙衣に代わり、絵美が慎吾を問いただす。
< 144 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop