エリート上司の過保護な独占愛
「今日はお仕事だったんですよね?」

「あぁ」

 裕貴は間髪入れずにそう返事をした。

「嘘ですよね?」

「え? ちょっと」

 裕貴が驚いていたが、思いがあふれだした沙衣の言葉は止まらない。

「桧山みどりさんと会ってたんですよね? 昔お付き合いされていたって……」

「あ、え? どこからそんな話」

 驚いたのは裕貴だ。まさかそんなことを沙衣が知っているとは露ほどにも思っていなかったからだ。

「みどりさんと会うから、私に仕事だって、嘘ついたんですよね?」

「いや、ちょっと待って」

 裕貴が強い力で沙衣を、自分の方に強制的に向かせた。その顔を見て言葉が出てこないようだった。

 泣きたいのを我慢していて、目じりには涙がたまっていた。しかし、話し始めるとこらえきれなくなる。

「か、課長に以前恋人がいたことは、私にだってわかります。でも、嘘をついてまで会わないでっ……く、くださいっ。か、課長はっ……今は、私の、彼……なんですからっ……ひっ」

 最後の方は涙が止まらずに、しゃくりあげてしまった。醜いヤキモチだと思う。けれどこれが今の沙衣の本当の気持ちだった。
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