エリート上司の過保護な独占愛
 相手の考えまで思い至らず、話も聞かずに一方的に裕貴が悪いと決めつけてしまった。

「いや、ちゃんと沙衣にだけは話をしておけばよかった。俺としてはすでにみどりに対して個人的な感情はなかったから、そこを沙衣が気にするとは思わなかったんだ。本当に悪かった」

「私、課長との恋が初めてで、自分の感情がどうにもコントロールできずに、あんなふうに取り乱してすみません。全部全部、はじめてだから――」

「じゃあ、これがはじめてのヤキモチ?」

「そう……ですね。ヤキモチ……だと思います」

 自分で口にして恥ずかしくなった。今回のことは沙衣の単純なヤキモチで、絵美や慎吾にまで迷惑をかけてしまったのだ。

 裕貴は反省する沙衣をもう一度ぎゅっと抱きしめた後、顔を見つめた。その顔はなぜだか少しうれしそうだ。

「いや、こんなこと、喜ぶことじゃないってわかってるんだけど。うれしくて」

「うれしい……んですか?」

「あぁ、沙衣がヤキモチやくほど俺のこと好きなんだなって思って」

「ち、違います。いや、違わないけど……」

 慌てふためく沙衣を見て、裕貴はますます笑顔になる。

「ヤキモチでもなんでも、ちゃんと俺に話をして。沙衣の気持ちは全部受け止めたいから」

「課長……」

 絵美の言う通だった。こうやってひとつずつお互いに乗り越えていくのだと実感した。彼の腕の温もりを考えながらそんなこと思っていた。
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