エリート上司の過保護な独占愛
「別に“押さない”って言ってるわけじゃないわ。条件があるってこと」

「それは、どういう条件ですか。すぐに会社に持ち帰って協議します」

「あははは――あなたってば、本当に真面目ね」

 いきなりみどりが笑い始めた。

(こんな大事な話をしているときなのに、どういうつもりだろう)

 この場で笑い声をあげる、みどりを理解することができない。

「わざわざ会社に戻らなくても、すぐにここで答えを出してくれればいいわ」

 そして微笑んだまま、こう言った。

「私、裕貴と寄りを戻したいの」

 単刀直入すぎる言葉に、紗衣は絶句するしかなかった。まさかそんな条件を出してくるとは思わず目を見開く紗衣を見て、みどりはケラケラと笑っている。

(何が……そんなにおかしいの?)

 何だかバカにされているような気がしてならない。

「寄りを戻すって……、桧山さんご結婚されているじゃないですか!」

 思わず責めるような言い方をしてしまう。

「桧山と私は、今、離婚協議中よ」

「そ、んな……だとしても、いきなり寄りを戻すだなんて」

「そうね。でも私、欲しいものは欲しいの」

 これまでも何でも手に入れてきたのかも知れない。しかし裕貴は今、紗衣とつきあっている。到底無理な話だ。
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