エリート上司の過保護な独占愛
 『沙衣』と優しく呼ぶ声。優しいまなざし。大きな手、たくましくて安心できる胸、ときどきされる意地悪でさえ、好きだ。

〝好きだった〟ではなくまだ〝好き〟なのだ。それなのに、彼との恋を終わらせなくてはいけない。それがいくら裕貴のためだとわかっていても、溢れ出してくる涙を止めることなど、できなかった。

 どれくらい時間がたっていたのだろうか。店員に閉店を告げられて沙衣はやっとの思いで立ち上がり、店を後にした。

 どこをどうやって自宅にたどり着いたのかも分からない。ベッドに入ったところで、まったく眠れない。

 けれど裕貴の幸せを願う沙衣の決心は固く、翌日には行動に移すことにした。いつも胸もとに輝いていたあのネックレスはすでに外されていた。

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