エリート上司の過保護な独占愛
あの日から一度だけ、ふたりが話しをしている姿を目撃したことがある。覚悟はしていたけれど、やはり辛いもので思わず目をそむけてしまった。
これでは裕貴に未練が残っていると思われてしまう。
色々な意味で気合いを入れて、応接室の準備にむかった。
午後十五時五十分。
大迫と共に会議室で待っていると、最初に現れたのはユニヴェールの藤本だった。
「いよいよですね」
「はい。まぁ、ここからが本番ですけど」
藤本の言葉に、大迫はネクタイをギュッと締め直して気を引き締めていた。
この企画の話が持ち上がって以来、藤本とは今までにないほど色々な話をした。ときに意見をぶつけ合いながら結果を追及していくうちに、より強い信頼関係が生まれてきたと思う。
あとは、みどりの到着を待つだけなのだが――。
約束の時間の十七時ギリギリになって裕貴とともに現れたのは、みどりではなくひとりの男性だった。歳はおそらく五十代。ジャケットこそは羽織っているが、ネクタイを締めているわけではない。しかし洗練されたスタイルが、大人の上品さを漂わせていた。
一瞬、会議室にいる面々が不思議そうな顔をする。しかし次の瞬間、藤本が声を上げた。
「あ、桧山ケイジ……さんっ!」
慌てて“さん”づけしたけれど、思わず呼び捨ててしまうほどの驚きだった。それは紗衣も大迫も同じだった。
これでは裕貴に未練が残っていると思われてしまう。
色々な意味で気合いを入れて、応接室の準備にむかった。
午後十五時五十分。
大迫と共に会議室で待っていると、最初に現れたのはユニヴェールの藤本だった。
「いよいよですね」
「はい。まぁ、ここからが本番ですけど」
藤本の言葉に、大迫はネクタイをギュッと締め直して気を引き締めていた。
この企画の話が持ち上がって以来、藤本とは今までにないほど色々な話をした。ときに意見をぶつけ合いながら結果を追及していくうちに、より強い信頼関係が生まれてきたと思う。
あとは、みどりの到着を待つだけなのだが――。
約束の時間の十七時ギリギリになって裕貴とともに現れたのは、みどりではなくひとりの男性だった。歳はおそらく五十代。ジャケットこそは羽織っているが、ネクタイを締めているわけではない。しかし洗練されたスタイルが、大人の上品さを漂わせていた。
一瞬、会議室にいる面々が不思議そうな顔をする。しかし次の瞬間、藤本が声を上げた。
「あ、桧山ケイジ……さんっ!」
慌てて“さん”づけしたけれど、思わず呼び捨ててしまうほどの驚きだった。それは紗衣も大迫も同じだった。