エリート上司の過保護な独占愛
「確かに、男性社員はみんな彼女に優しいですよね」

「そうかしら? まぁ上辺だけの人もいるけどね。それに完全に裏を知ってる女子社員たちには不評だけどね」 

 彼女に関してのうわさを、沙衣も耳にしたことがある。誰かの彼氏を奪っただの、男性からの仕事しか受けないだの――確かにあまりいい噂ではない。

「まぁ、さっきと言ってることが逆になるけど、沙衣があの子みたいになってほしいとは思わないけどね。沙衣は今のまま素敵に成長してほしい」 

 まるで実の姉のような言葉に、顔をほころばせた。自分の恋を絵美が応援してくれていると思うと、心強かった。

「ほら、しっかり食べて。午後からはひとりで眼科でコンタクト作って、そのあと美容院も予約してるんだからね」

 絵美は結婚式の打ち合わせがあるので、つき合ってもらえるのはランチまで。午後は自分ひとりで動かなければならない。

 今までの沙衣なら、新しいことに飛び込むまでかなり慎重に考えていた。しかし自分を変える楽しさを知ったおかげで、尻込みせずに新しいことにチャレンジしようと思えた。

「絵美さん、私頑張ります」

「そのいきよっ! このまま一気に課長をゲットよ!」

 そうそううまくいかないことはわかっている。けれど沙衣は色々と努力している今の自分のことが好きだと思えた。
 
 恋には自分をも変える力がある。片想いだとしても、相手を思ってする努力は決して無駄ではないとそう思えた。
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