エリート上司の過保護な独占愛
(メイクもおかしくない、服も昨日絵美さんと買ったものだし、変じゃないはず)

  休み明けの月曜日。満員の通勤電車も気だるげな人々の顔も、いつもと変わらない。しかし沙衣は、週末の努力の成果をしっかりと朝の身支度に詰め込み、少し緊張していた。

  ロッカールームに荷物を置き、いつも通り挨拶をかわしながら原料部のフロアに向かう。これまで誰ひとりとして変な顔はしなかった。

 (大丈夫、大丈夫)

 自分に言い聞かせるようにして、フロアに足を踏み入れた。

「おはようございます」

 沙衣は裕貴の方を見て、いつもと変わらぬ挨拶をした。その声に反応して、裕貴はパソコンの画面から顔を上げ沙衣を見る。

 沙衣は眼鏡をコンタクトに変えて、長かった黒髪をショートカットにしてほんの少し髪色を明るくした。

 洋服は昨日買ったスモーキーピンクのワンピース。いつもは三センチのヒールを履いているが、今日は少しでも背筋が伸びるようにと七センチのヒールを履いていた。

 どこからどう見ても、金曜日までの彼女とは違う。

「おはよ……う」

 一瞬、驚いた顔をしてその後すぐに笑顔になった。

「本城……」

 裕貴が何か言葉を発しようとしたけれど、そこに上迫の声がかぶる。
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