エリート上司の過保護な独占愛
「わかりました。その件については私の方から上迫に話をして、追ってご連絡するようにいたします」

≪ごめんなさいね。こっちの都合で。うちの会社も最近めっきり勢いがなくなってしまって。そのせいか去年同期のデザイナーが独立して結構大変で……≫

「そうなんですね。門出を祝いたいですが、それはそれで寂しいですよね」

 取引先とはいえ、三年前から知っている相手だ。こんな感じで世間話もよくしている。

≪悪かったわね。忙しい月曜日に時間取らせて。じゃあ、連絡待ってるから、上迫さんによろしくお伝えください≫

「はい。承りました」

 沙衣はゆっくりと受話器を置くと、すぐに電話の短縮ボタンを押して上迫に連絡を取った。

「お疲れ様です、本城です。今、お電話大丈夫でしょうか?」

≪うん。今、電車降りたところだから平気だよ≫

 上迫にさっきのユニヴェールからの電話の内容を伝えた。すると「う~ん」とうなったあと、課長である裕貴に相談するために電話をまわすように言われた。

 裕貴はちょうど別件の電話を終え、受話器を置いたところだった。

「天瀬課長、上迫さんからお電話です。一番お願いします」

「わかった、ありがとう」

 保留のため点滅してたランプが通話中に切り替わる。沙衣はすぐに目の前の画面にあった見積書をプリンターで出力して裕貴の手元に差し出した。

 すぐに気がつき、沙衣にさっと手をあげるだけのお礼を言うと受話器にを首に挟んで資料をめくった。

 その様子を見て沙衣は先ほどやりかけていた仕事に戻る。朝のうちに営業担当分の経費精算をしてしまい、経理課にデーター送信を終わらせてしまいたい。……けれど、裕貴の様子から上迫との電話の内容があまりよいものではないことがわかり、気になってしまう。
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