御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
始が身じろぎするたびに、ちゃぷん、ちゃぷんと水音が響く。
背後から、ふわわ……と大きなあくびをする声が聞こえた。
「――眠いですか?」
「ん……さすがに……上のまぶたと下のまぶたが仲良くしたいって言ってるよ……」
始はうなずきつつ、早穂子の首筋に顔を寄せる。
「サホちゃんは? 眠くて帰ったんじゃないの?」
「いえ……。酔っただけで……でもお風呂に入ったらすっきりしました」
「そっか……」
始はうなずきながら、背後から早穂子の肩を抱きしめ耳もとでささやいた。
「このままベッドに行こうか」
その声はただ単に寝ようと言われているにしては甘すぎて、早穂子の心臓は一瞬、どきりと跳ねる。
「疲れてるんですよね?」
「そうだよ……眠いし疲れてるんだけど……」
始の舌が、早穂子の耳をなめて、舌を差し込んでくる。
「っ、あっ……」
その動きに早穂子が身じろぎして声を漏らすと、始は後ろから下半身を押し付けるようにしてささやいた。
「サホちゃんみたら、すっげえ抱きたくなるの……困ったな……俺がサホちゃんと仲良くしたい」
始の誘いはいつもこうだ。
困っているかどうかはわからないが、こんな風におねだりされてイヤな気持ちになるはずがない。
それに自分はどっちだっていい。
ただ始とくっついていられたら、それだけで幸せなのだから。