御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「えっ?」
なぜ鳥飼の名が出てくるのだろう。
「だっていい感じだったじゃない」
「いい感じ……」
思ってもみない相手の名前を出されて、早穂子の目は真ん丸になった。
もしかして鳥飼と連絡をとっていると思われたのだろうか。
「連絡は一度もとってないよ」
早穂子は苦笑して肩をすくめる。
そもそも、連絡先を交換したからといって、連絡を必ずとるというものでもないだろう。
一応の礼儀として、連絡先を聞かれたとしか思っていない早穂子は、苦笑するしかない。
だがゆずはそれが信じられないらしい。
「えっ、本当に鳥飼さんと連絡とってないの?」
大きな目を丸くして、なぜか早穂子に詰め寄ってくるではないか。
「うん……」
タジタジになりながらもうなずくと、ゆずは、「おかしいな……鶴田君の話と違う」とブツブツとつぶやいている。
よく聞こえなかった早穂子が「なぁに?」と問いかけると、彼女は慌てたように「いやいや……こっちの話」と首を振った。
「そう……ならいいけど」
よくわからないが、彼女がいいと言うのなら早穂子に追及するつもりはない。