御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「鶴田くんがサホコ狙いなら、こんなこと頼まないんだけど……。でも、そういう感じではないんだよね……。むしろ、鳥飼くんとサホコをくっつけようって思ってるような感じで」
「え!」
そういえば今日トイレで、ゆずから連絡がある前提で、話題を振られたことを思い出していた。
「だから今日、鳥飼さんの名前を出したの?」
「うん」
ゆずはこっくりとうなずいて、ワイングラスに唇をつける。
「サホコが副社長のコト好きなこと、わかってる。だから無理強いはできないんだけど……」
だができれば一緒に来てほしいのだろう。どんなかたちでも彼の側にいたいのだ。
そう思うゆずの気持ちは痛いほどよくわかる。
だから早穂子はこくりとうなずいた。
「――いや、いいよ」
「えっ、いいの!?」
早穂子の返事に、ゆずが驚いたように目を見開いた後、パッと顔を輝かせる。
「でもその……鳥飼さんと私をくっつけられると困るんだけど」
多少、自意識過剰な気もするが、そこは言っておきたい。