御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
彼が恋をするとしたら、どんな人だろう。
あの、自分の感情やふるまいの全てをコントロールしているような人が、我を忘れるような恋をすることがあるのだろうか。制御不能に陥ることはあるのだろうか。
少なくとも自分がそういう相手ではないことは、わかっているのが寂しい。
それでも早穂子は、始のことを考えずにはいられないし、彼のことを思っていたいのだ。
そして週明け。ダブルデートの日程が土曜日に決まった後、ゆずは美容院に行ったりデパートに洋服を買いに行ったりと、忙しそうにしていた。
(それにしても、グループでデートって、学生の時以来かも……)
早穂子は過去にたったひとりとしか付き合ったことがないので、世間とズレが生じている気もしないでもないが、とりあえず、男女四人のうち誰一人付き合っているわけでもないのだから、四人で集まろうと言うのは自然な流れなのだろう。
先週は、早穂子も彼女と同じようにウキウキと胸を弾ませていたことを思い出すと、少し胸が痛くなるが仕方ない。
とりあえずいつも通りやるべきことをこなし、心を落ち着かせる。波風を立たせない。
それが、昔から日々を平穏に過ごすための学び――のようなものだった。
「蓮杖さん、共有ファイルに、人事から来月の新入社員の履歴書来てるはずだから、あとはよろしくね」
「はい、わかりました」