御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
山邑リゾートは年中社員が採用されるので、社員の福利厚生の手続きは日常業務なのだ。
同僚の言葉にうなずいて、早穂子は頼まれた仕事に集中していたのだが、しばらくすると、目の奥がズキズキと痛み始めた。
(昨日もよく眠れなかったから……仕方ないか)
キーボードを叩いていた指でこめかみのあたりを押さえながら、早穂子はゆっくりと息を吐く。
始と付き合いだしてからは、割とぐっすり眠れる日が続いていたが、また最近入眠に時間がかかるようになり、眠りも浅くなっている。
(病院にお薬貰いに行かないと……)
うーんと天井に向かって伸びあがりながら、早穂子は気分を紛らわせるために、デスクから立ち上がり、給茶機の元へと向かった。
自分のマグカップをセットして白湯のボタンを押すと、
「それ、間違って押してない?」
と、頭上から涼やかな声が響く。
「あ、いえ白湯を飲もうと思って……」
不眠症を長く患っているので、カフェインが飲みたくて仕方ないというとき以外は、基本的に白湯を飲むようにしているのだ。答えながら顔をあげた早穂子は、固まってしまった。
なんとそこに、始が立っている。