御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「ひゃっ……!」
驚いた早穂子は悲鳴をあげ、次の瞬間、ハッと慌てて両手で口元を押さえる。
「大丈夫。ここ、完全に防音だから」
そんな早穂子に、始はクスクスと笑いながら耳元でささやいた。
彼の声は蕩けるように甘く、抱きしめる腕は優しい。背中いっぱいに始の広い胸を感じて、息ができなくなる。
早穂子の胸はどくんどくんと激しく鼓動を打ち始めた。
もうこれはオフィスモードではない。完全なプライベート空間だ。
「あ、あの……始さん……」
これはもしかしてもしかするのだろうかと、早穂子の頭の中で自分に都合よく、思考が回転し始める。
すると始は、
「面談の顔して連れ出したけど、俺がこうしたかっただけなんだ。公私混同、軽蔑する?」
と、少し申し訳なさそうにささやいた。
顔が見えるわけではないが、しゅんとしている表情が目に浮かぶ。
「そんなの……軽蔑なんか、できるわけないじゃないですか」
本当はいけないことだとわかっているけれど、そのいけないことをしてくれた始の気持ちが、たまらなく嬉しかった。
ゆっくりと首を振ると、始は手近な椅子に腰を下ろし、早穂子の手を取りじっと見上げてきた。
「俺の膝に座って」