御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
さすがの鳥飼も眼鏡の奥の目を見開いて、驚きを隠せないようだ。
だがそれからゆっくりと表情を和らげ、やがてふふっと肩を揺らして笑い始めた。
「びっくりするくらい話が早いな」
「うん……」
あれこれと思い悩んでばかりの早穂子には羨ましいばかりだが、それはゆずが自分で行動した結果だ。祝福したい。
「私たち、必要なかったみたいね」
「まぁな。とりあえずここは気遣ってふたりきりにしてやるか」
鳥飼が肩をすくめて、けれど優しい微笑みを浮かべた。
「それがいいかも」
早穂子もうなずき、スマホに『じゃああとはおふたりで』と打ち込み、バッグに仕舞った。
「で、俺たちは、どうしようか。メシでも行く?」
「そうね。そうしましょう」
早穂子が笑うと鳥飼も笑う。
ランチを取るにはいい時間だし、なにより重い感情を抱えている者同士、気が合いそうだ。
そんなことを思いながら、ふたりは公園の入り口に向かって歩き始めたのだった。