御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「槙さん……」
相変らず槙白臣という男は、よくわからない。
だが彼は始のもっとも近しい友人のひとりだ。
おそらく頭の中でいろんなことが高速回転して、今の答えを導いているのだろう。
早穂子を戸惑わせたり、困らせたりするつもりはないのだ。
「槙さんがそう言うのなら……始さんは大丈夫だって、信じます」
早穂子がそう言って笑うと、
「君はかわいいな」
白臣が甘い光をたたえて、切れ長の目を細めるものだから、ドキッとした。
「えっ?」
「かわいい。今でも始さんのことが好きなんだね」
上品に微笑む白臣に、早穂子の心臓は違った意味で跳ねあがった。
「やややや、ちょっと待ってください、そうやって軽いノリでからかうの、止めてくださいっ……」
絵に描いたような、正統派な美男子である白臣にそういうことを言われると、心臓に悪い。息が止まってしまう。