御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
(危険、危険すぎる……!)
慌ててちょっぴり後ずさると、白臣が「からかったつもりはないんだけど」と肩をすくめる。
本気ならなおのこと困る。
(きっとこの調子で、その気もないのに女の子を本気にさせてそう……)
貴公子然とした男だが、存外危険な男なのかもしれない。
さすが始の友人をやっているだけあると思いながら、早穂子はその場を笑ってごまかしてしまった。
「――じゃあ、蓮杖さん。またそのうちバッカスの会でね」
「はい。またいつか」
もう自分はバッカスの会に参加することはないと思うが、いまだにメンバー扱いしてくれる白臣の好意は、純粋に嬉しかった。
早穂子はうなずいて、軽く手を振って別れる白臣の背中を見送ったのだった。
そんなこんなで、想像もしていなかった再会もあったが、式は和やかに終了した。
友人が多い新郎新婦らしく、カフェで行われた二次会も大変盛り上がり、さらに残った二十人ほどで、三次会のBARへと向かうことになった。