御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「それはリゾートっていう特別な空間だからじゃないですか? その……始さん、他人を喜ばせることばかり考えて、ラフなデート、されたことないのでは……」
「あーなるほど。それはそう言われると、そうかも……」
もしやというつもりで尋ねたが、なんとなく始は心当たりがあるらしい。
始はふんふんとうなずきながらも、柔らかく目を細めて、早穂子を見下ろす。
「じゃあデートの内容は要検討として。返事は? 聞かせてくれないの?」
始の声が、少しだけかすれる。
紅茶色の目に彼の情が折り重なって、深みが増す。
期待に満ちた始の目が、キラキラと輝き始める。
(これ以上、意地悪するのはやめとこう……)
早穂子はにっこりと笑って、うなずいた。
そしてゆっくりと、指先を自分から始の手にからめる。
「まず、キスしてください。返事はそれからです」
「――了解」
始はクスッと笑って、早穂子からつないだ手をぎゅっと握り返す。
早穂子が目を閉じる前に、ゆっくりと始の影が早穂子を包み込んでいった。