御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
向かった先は、日本橋にある南天百貨店本店のリビングフロアだった。フロア内はかなりの人出で、始はしっかりと早穂子の手を握っている。
(なんだか恥ずかしいな……)
そう思うが、彼の大きな手に包まれていると、早穂子はとても安心できる。ずっとこうしていられたらと本気で思う。
「家具はもうまとめて頼んじゃってるからな。あとは生活雑貨品とか、細々としたものだけなんだ」
始は食器売り場の、何気なく目についたガラスの器を手に取って、隣の早穂子を見下ろす。
「ふたりでつかうものだし、やっぱり君の意見を聞きたい」
「はい……責任重大ですが……」
「大げさだよ。好みで選んでいいんだ」
始はつい数日前、ようやく日本での引っ越し先を決めた。
麻布にある低層の高級マンションで、五階建ての最上階だ。
「好みでいいって……」
始は簡単に言うが、センスの塊みたいな始の部屋に置くものだ。彼にふさわしいものを選びたい。