御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~

(勝てない……か。涼音さんは、始さんに思いを告げたのかな。それとも言わずじまいだったのかな……)

正直わからない。

どっちもありそうと言えばありそうだが、涼音はなにも言わなかった。だからわざわざそれを始に確かめるつもりもない。
もうこんなことで始との関係は揺らがないはずだから。

それからしばらくして、「ごめんね」と始が駆け足で近づいてくる。電話は終わったらしい。

「ううん、大丈夫ですよ」
「次はカーテン見に行こうか」
「はい」

始は当然のように早穂子の手を取って、歩き始める。

(今は、隣にいるこの人を信じて、支えあえたら……それでいい)

他人に振り回されるのは、もうやめにすると決めたのだ。



買い物を終え、地下駐車場に停めていた車に乗り込み、シートベルトを締める。

始が車のエンジンをかけたところで、

「ところで、来週の土曜日、予定あるかな」
「え? 特に……今のところは」

ゆず夫婦の新居には来週遊びに行く予定だが、それ以外は特にない。

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