御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
まだなにか驚かされるのだろうか。少し身構えてしまった。
早穂子がおそるおそる首をかしげると、始が声を押さえてささやいた。
「既成事実を地道に積み上げて、君の目に映る男を俺だけにしたい」
甘やかな輝きが、始の紅茶色の瞳に宿り、星のようにきらめく。
「欲しがりな俺に幻滅する?」
「――そんなわけないじゃないですか」
早穂子が笑って答えると、始もつられるように笑って。少しまぶしそうに目を細めた。
「愛してるよ、早穂子」
始が頬を傾けて、助手席の早穂子に軽く口づける。
「私もです、始さん」
早穂子もそう答えて、彼のシャツをつかみ、引き寄せた。
唇が重なるだけで、胸がときめく。
指先を絡ませると、幸せな気持ちで胸が満たされる。
二年半も前から引きずり続けた恋は、始まったばかりで。
きっとこれからも、始とは仲良くしたり、たまにはケンカをしたりして、それでも続いていくだろう。
だが確かに今、自分たちは恋をしている。
まだ、始まったばかりで、そしてこれからも永遠に続く恋を――。
20200716 end