御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
だから真面目にそう言った。
自分に言い聞かせて、目を覚ますつもりだった。
「――ん? 駄目だよ」
始はゆっくりと首を振る。
「終わりにはしない」
そして彼は、ぺろりと早穂子の手の甲をなめ、それから指に歯を立ててかみつくと
「ねぇ、キスしてよ」
濡れたような瞳で、そうささやいたのだ。
(嘘……嘘……?)
噛まれた指は、わりとリアルな痛みだった。
繋いでいた手を始が引っ張ると、早穂子の体はそのまま前へと倒れていく。
始の少し赤みがかった茶色い目に、自分のシルエットが映るその距離まで……。
早穂子の首の後ろに、始の腕が回る。
「俺をもっと興奮させて。感じさせて……」
――――・・・・