御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~

(夢じゃ、なかった……)


事後、始の腕に抱きしめられたまま、早穂子は呆然とベッドに横たわっていた。


あの後、かなり念入りに早穂子は始に抱かれた。

念入りというのはその言葉の通りで、まるで丸め込まれるようなセックスだった。

始は言葉も指も舌も器用で、タフでいつまでも強靭だった。


甘く、強く、優しく……。

早穂子を行為に没頭させるための手練手管は驚くばかりで、経験人数がたった一人とは思えないくらい、乱れてしまった。


(ということは……昨日のあれは……全部……本当にあったことなの……?)


早穂子は両手で顔を覆い、死ぬほど後悔しながら、記憶を手繰り寄せる。



そうだ……。

昨夜はノー残業デーで、全員五時に退社。

それから都内の山邑リゾート関連ホテルでの立食パーティーで――
それは東京本社の新入社員のための懇親会だった。


早穂子は去年の十月に入社してまだ半年。

だから今年初めて参加したのだ……。


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