御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
「もう昼だってのに、まだ寝てるのか。まぁ、全員無理して予定合わせたんだもんな。仕方ないか……」
そして背後で黙って立っている早穂子を振り返って手をつかんだ。
「とりあえず部屋に行こうか」
「あ、はいっ!」
早穂子はコクコクとうなずいて、始に手を引かれホテルの中に足を踏み入れた。
街を一望できる床から天井まで広がる窓。その前にはゆったりと横たわれるカウチがあり、隣の続き部屋には豪華なキングサイズのベッドが見える。
「うわぁ……」
部屋に足を踏み入れるや否や、早穂子は声を上げて、窓へと駆け寄っていた。
「海がきれいでしょ?」
後から部屋に入ってきた始が、隣に立って優しく早穂子の肩を抱き寄せる。
「はい、すごく青いですね!」
思わず子供のようにはしゃいでしまったが、鳴門の海は早穂子が今まで見た海のどこよりも青く、美しかった。