御曹司の蜜愛は溺れるほど甘い~どうしても、恋だと知りたくない。~
建物自体はそう高くはないのだが、高台に立っているので、眺めも抜群だ。
「あ、でも、部屋自体もとても素敵ですね」
早穂子は窓から部屋の中を振り返る。
入り口から右手は、ガラスで仕切られたバスタブとシャワールームがあり、大きなガラスの花瓶に花が生けられているのが見える。
そして反対側の壁には、品のよい調度品と大きなテレビ、オーディオシステムなどが設置してあるが、電化製品もうまく調和している。
新館のヴィラの噂は聞いていたが、本館もかなり贅を尽くした造りになっているようだ。
「でしょ」
始はクスッと笑って、そのまま早穂子を後ろから抱きしめると、頬ずりをするようにして顔を寄せ耳元にささやきかける。
「寝室も素敵だよ。見てみる?」
軽やかな誘惑の言葉に、早穂子の心臓は跳ねた。
(それはまさかそういう意味……?)
ただ単に見ようと言っているのか、それとも昼間っからベッドに誘われているのか、判断がつかない。