ひとりぼっちの夜は、君と明日を探しにいく


そして数日が過ぎて、私たちは再び東和田市に向かった。駅を降りるまでの1時間と15分。

暇を潰すような会話はしなかった。それなのにあっという間に街に着いて、先に改札口を通ったのは詩月。

最初はあんなに怯えた目をしていたのに、今日の詩月の背中はまっすぐに伸びている。

「行こう」

だけどその言葉を言ったのは私だった。

「でも場所は……」

どうやら詩月はまた交番で地図を借りて、街を歩き回って探すつもりだったらしい。

「平気だから、行こう」

私も多くは告げなかった。

詩月の家の場所。それは安田さんの思念を読み取った時に見えていたから知っていた。

でも私だけ行っても意味がないし、これは詩月の問題だから詩月が覚悟を決めないと私は立ち入れない領域だから。

詩月の家は南中を通りすぎて、閑静な住宅街の奥にあった。周りは自然豊かな環境で大きくてとても立派な家。

だけど今はその場所になにもない。

立ち入り禁止のロープが張り巡らされていて、
ぽつんとなにもない空間が広がってるだけ。
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